測定レポート福島

はかる、知る。福島 番外編

20141125

2014年1月17日、空間線量の計測と冊子『はかる、知る、くらす。』の取材をかねて福島市を訪れました。

お伺いしたのは、市内在住の保原さん(仮名)。ご自宅やお子さんたちの通学路などの周辺を高性能のホットスポットファインダー(HSF)で計測したいというご希望をお持ちでした。今回はご親切に甘えて、冊子内記事の参考とするために、線量が高く注意を要する場所などに同行いただいて計測をさせていただきました。

その際のお話を『はかる、知る、くらす。』の「製作後記」をかねて、イトウエルマさんのイラストエッセイとともにお伝えいたします。

拝啓 信夫山 〜『はかる、知る、くらす。』製作後記をかねて〜

まず福島駅でお話を伺いました。保原さんとともに同席していただいた「渡利の子どもたちを守る会」の菅野吉弘さんも、イトウエルマさんをはじめとする我々スタッフの「生活している方々の思いを直接お伺いしたい」という思いに応えるように、震災後の日々を率直に話してくださいました。

「7μSv/h以上のホットスポットが散在していた2011年9月当時に比べて、空間線量も下がってきて、一見すると日常も戻ってきているように見えます。でもまだホットスポットはあちこちに残っています。子どもたちへの影響を考えると、20年、30年後まで見据えた対策が必要だと感じています」

そんな言葉が印象に残りました。

保原さんのご自宅からも近い阿武隈川の川べりからHSFでの計測を開始しました。白鳥が泳ぐ穏やかな光景の中、地表からの高さ約10㎝で計測しました。おおむね0.2〜0.3μSv/h、一部で1μSv/hを超える場所がありました。少し前に計測した東京の渋谷周辺が全体的に0.02〜0.1μSv/h、高めのスポットで0.10〜0.18μSv/hですから、ひとけた数値が異なる印象です。原発事故の影響の大きさを改めて実感させられました。

「家庭で食べるものは、原発事故の影響がほぼないと思える地域の野菜を取り寄せるなどして、内部被曝を少しでも減らそうとしています」と話す保原さん。お住まいの家の庭の表土をはがし、穴を掘って埋めるなどの対策をとってきています。お子さんたちの通学路も空間線量を計測しながら、行政に除染の要請をするなどして、追加被ばくを少しでもなくなるように除染をしてもらってきたたそうです。その言葉通り、家のまわりや通学路は他の場所より低めの空間線量でした。


その後、山沿いや、丘の上の住宅地といった、「空間線量が気になる場所」も保原さんと一緒に計測しました。道の端などの雨水がたまりやすい場所などは、明らかに空間線量が高くなります。山際の人の手の入っていない畑では6μSv/hを超える数値が出ました。

下校途中の子どもたちが歩く公園の遊歩道の上では0.4μSv/hを超える数値が出ました。ちなみにそばにあるモニタリングポストの数値は0.121μSv/h。菅野さんのご指摘通りマイクロホットスポットが数多くあることを実感させられました。一般的な除染の基準「0.23μSv/h」であることを考えても、特に子どもたちがいる場所は、放射線量の計測をしながら除染などの対策を取ることを継続する必要性は高いようです。


最後に市街地の北にある信夫山を計測しました。

福島生まれの保原さんは一度県外で出てから福島に戻ってきたそう。展望台から山々を見ながら、保原さんが語った「福島は自然も人も美しいところです」の言葉に、知らずうなずいていました。

菅野さんと保原さんをはじめとする多くの方々の協力があって、『はかる、知る、くらす。』は完成しました。多様な考え方を持つ私たちスタッフですが、「子どもたちをはじめとする人々が、追加被ばくを少しでも減らして、日々を暮らしていく」ための一助となれば、という思いを共有しながら作り上げました。

ふりがななどをふって少年少女の方々にも読みやすくした『コミック版』も含めて、皆様のお手元において、生活の中での心構えや具体的な対策の参考にしていただければ、とても嬉しいです。

『はかる、知る、くらす。』編集長 服部夏生


写真:吉田千亜





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2014年11月25日 18:05:53