測定レポート関東

はかる、知る。 群馬 (前編)

20141125


夏の日差しがまぶしい2014年8月4日、群馬県高崎市にあるスーパーマーケット「トミー」を訪れました。

トミーは、提携している地元の農家さんたちと、原発事故の後、作物や土壌、空間の放射線の測定を重ねて、現状を把握し、消費者にも説明を重ねてきています。今回は、提携している群馬県内の農家さんを訪ね、作物や土壌、空間線量の「現状」を知りたい、というご希望に沿いながら、ここまでの取り組みや思いについてお話を伺ってきました。

「健康・安心・おいしさを考える」スーパーマーケット

トミー ( http://www.s-tomy.co.jp/ ) の店内に入って最初に目に入ってきたのは、おいしそうな野菜の数々でした。それぞれの産地や生産者のプロフィールが書かれたポップも目につきます。豆腐などの加工品も原材料の産地を明記してあります。食いしん坊ぞろいのこどもみらい測定所の測定チーム一同、思わず商品を手に取って吟味を始める「お買い物モード」に入ってしまいました。

トミーは昭和3年に創業した老舗のスーパーマーケットです。栽培方法や製法が「まっとうな」商品をそろえるようになったのは、現三代目の社長、冨所(とみどころ)正幸さんが入社した、昭和60年代から。「数多くの量販店が立ち並ぶ中で、自分たちらしさを打ち出さねばと考え、『お客さまに少しでも安心して食べていただける、まっとうなものを扱っていこう』という原点に戻ることに決めました」。冨所さんをはじめとするスタッフが地道な努力を重ねた結果、、数多くのリピーター客も来るように。「健康・安心・おいしさを考える」をキャッチフレーズに、独自のポジションで人気を保ってきました。


スーパーマーケット「トミー」。高崎駅の東口からほどない場所にあります。



店内風景。生鮮品は産地や生産者、加工品は原材料の産地といった情報が添えられています。



セシウム合算で「3Bq/kg」という独自の基準を作る

そんなトミーの冨所さんたちに原発事故後の日々について伺ってみました。

「情報もなかなか集まらない中、まず考えたことは、お客様にできるかぎり内部被ばくを避けていただくこと。野菜などの一部を西日本から取り寄せ、扱っている商品の収穫年度原料の産地といったものを改めてメーカーさんに確認しながら一点ずつ選ぶ作業を繰り返しました。2011年は、そうやって扱える商品を確保することに追われました。一方で『測って、現状を知る』こともできるだけ早く行ないたいと準備を進めて行きました。’12年の初頭から、市民測定所に依頼して扱う食品などの放射線測定を本格的に開始しました」

トミーでは測定を開始する際にセシウム合算で「3Bq/kg」という独自の基準を作りました。政府が’12年4月に設定した「一般食品100Bq/kg、牛乳と乳児用食品50Bq/kg、飲料水10Bq/kg」という基準値に比べて、かなり慎重な対応と言えます。

「事前に取った皆様へのアンケートで『食べるものは3Bq/kg以下がのぞましい』という声が多かったのが決め手になりました。さらに測定を行い検出下限値『1Bq/kg』で不検出(ND)の結果が続いた上に、添加物や肥料などに関しても独自の基準をクリアした食品に関しては、『赤ちゃんマーク』というシールを貼っています」

と語る冨所さんたちが、測定を進める際にひときわ気を配ったのは「地産地消を進めたい」と提携してきた地元の農家さんたちのことでした。


今、トミーが力を入れている乾燥野菜の数々。風味を損なわずに乾燥させた商品は、どれも保存が効く上に、凝縮された豊かな味わいを楽しめます


トミーなどを運営する富田屋商店の社長、冨所(とみどころ)正幸さん。


選んでいただくためにできるだけ詳細な情報を


契約農家の吉野源三さんの畑で栽培されたトウモロコシ。甘くておいしいです。

地元の農家の多くは、2011年の3月21日に厚生労働省によって、群馬県産のホウレンソウとかき菜に出荷制限がかかったこともあり(注:4月8日に解除)、買い控える客も増え、苦労をされていたそうです。

「畑に何度もお伺いしてコミュニケーションを取りながら、その姿勢や栽培方法、品質や味といった全般に信頼をおいてきた農家さんたちです。彼らの責任ではない『放射能』によってその作物を扱えなくなるのは、率直に言ってつらい。そういった農家の方を訪れると、情報も十分にとれない中で、対策をどうように取っていいのか困惑されていらっしゃるところも多かった。一方で、お店にお越しいただくお客様は、食べるものだけに細かな注意をはらわれています。ならば、私たちが『消費者』と『生産者』の方々の間の『情報の差』を埋めて行く役割を担わなければ、と考えました。だから契約農家の方々に『計測することで、まず現状を知ろう。もし気をつけなければならない結果が出たら、一緒に対策を考えよう』と繰り返しお伝えしました。負担を少しでも軽減するために、個人経営の農家さんの測定料金は私たちが持つことにもしました。やはり、毎日畑に出て作業をされる農家の方々の健康も気になりましたからね」


高崎市内にオープンした「スローライフ トミーズ」では雑貨も扱っています。

と冨所さんは当時を振り返ります。

その後から現在に至るまで、近隣の約10軒の契約農家の土壌や作物の計測結果は、希望者には公開可能な状態になっています。

「お客様が判断する、つまる『知る』ためのできるだけ詳細な情報を提示することが、私たち小売店が生産者と協力して行なわなければならないことだと改めて感じています」

と力を込める冨所さんと一緒に、提携している農家さんを訪ねました。

文・写真:服部夏生(常緑編集室/こどもみらい測定所)


こどもみらい測定所がある東京都国分寺市にあるmemoliでも扱っています。


「トミー」が今、力を入れている商品のひとつが「乾燥野菜」と「乾燥果物」。こどもみらい測定所が定期的に測定して、検出下限値約2〜3Bq/kgで不検出という基準をパスした野菜や果物を、風味を損なわずに乾燥させた商品は、どれも保存が効く上に、凝縮された豊かな味わいを楽しめます。

こどもみらい測定所がある東京都国分寺市にあるmemoli ( http://memoli4future.com/ ) でも各種取り扱っています。よろしければぜひ味わってみてください。

はかる、知る。 群馬 (後編)へ続く

測定レポート関東 < 測定レポート

2014年11月25日 19:19:52