測定レポート東京

みんなで測ろうプロジェクト 〜浅草・お台場編〜

20131130

「みんなで測ろうプロジェクト」の第一回目は、スカイツリー、浅草から、お台場、新木場周辺を歩いて計測しました。「東京の外からの方々が来る観光地」と「東京五輪の会場予定地」を測ろうという意見を併せたもの。
 全体的に0.02〜0.1μSv/hくらい、高めのスポットで0.1~0.18μSv/h程度の空間線量が出ました。感受性の個人差などはありますが、基本的には、ホットスポットが存在しやすい場所を意識して、不用意に近づかないなどの対策を取れば、過ごしていける場所という印象を持ちました。

赤毛布旅行記


ホットスポットファインダーを、地面から約10㎝の高さになるよう右手でぶら下げるのが線量上昇が顕著でない地域での、こどもみらい測定所基本の計測スタイル

というわけではじまった「みんなで測ろうプロジェクト」。

第一回目は、スカイツリー、浅草から、お台場、新木場周辺を歩いて測ることにしました。

 先日のキックオフミーティングで出た「東京の外からの方々が来る観光地」と「東京五輪の会場予定地」を測ろうというご意見を合わせてみたものです。せっかくだから、ということで、東京五輪に遊びに来た観光客の態で、したまちと五輪の会場予定地を測って回ろうと考えました。

 テーマは「赤毛布旅行記」。

 赤毛布。「あかげっと」と読みます。

なんでも、明治時代、東京見物に来た旅行者は赤いブランケット地の外套を羽織ることが多かったらしく、ちょっと野暮ったい雰囲気をからかう意味合いも含めて「赤毛布」と呼ばれていたそう。トキオの洗練された紳士として日々を過ごしているぼくですが、若かりし頃、上京したときは、口を開けて新宿の副都心のビル群を見上げたもの。その頃の純粋な気持ちを思い出しつつ、「7年後の観光ルート」を歩いてみよう、と思った次第です。

 募集をかけたのがぎりぎりだったせいか、長距離歩くことが敬遠されたのか、参加者はゼロ。「ぜんぜん、みんなではかってないじゃん」と思いつつも、イシマル氏と男ふたりでゆるゆる行くこととしました。

東京スカイツリー周辺


やってきました東京スカイツリー。赤毛布旅行記のはじまりです

高い青空が広がる土曜日、東京スカイツリーに着いた我々がまずしたのは、あふれかえらんばかりにそぞろ歩く善男善女たちにまざって、口をあけてスカイツリーを見上げることでした。

「こんなに大きいの?」
「そうみたい」

 実はスカイツリーに登ったことのない我々ふたり。
すっかり赤毛布気分になりつつも気を取り直し、腹ごしらえをして、計測に取りかかりました。

 ホットスポットファインダー(HSF)の電源を入れ、地面から約10㎝の高さになるよう右手でぶら下げます(注1)。


東京スカイツリー周辺。明治通沿いの植え込みの空間線量。0.139μSv/h

一見、小粋なバックを持ち歩いている人に見えなくもないこどみらの基本スタイルで、まずは食堂のある街道沿いを計測しました。

「こういうところが気になるんだよね」

 とイシマル氏がHSFのセンサーを近づけたのは、車道と歩道の間の植え込み。0.139μSv/hという数値が出ました。

「平面であるアスファルトと違って、ブロックで囲まれた植え込みは、雨で降下した放射性物質が流れ出にくい。だから幾分濃縮されていて高い線量が出る傾向があるんだよね」

 一方、東京スカイツリー周辺の歩道部分では0.02〜0.07μSv/hの線量。その数値は、こどみらのある多摩地区周辺とあまり変わりませんが、植え込みなどは「やや高め」という印象です。せっかく来たので、と中を見学した模様は、どうぞ写真でご覧ください。

(注1:一般的な計測は地上1mですが、線量上昇が顕著でない地域では地上10cmほどの方が線量変化傾向が良く掴めるので今回もそのようにいたしております。石丸)


スカイツリー周辺の放射線量マップです


スカイツリー内にてイシマル氏。「ねーあたしたちもあれやってみようよー」と隣で女の子たちが騒いでいます

スカイツリー周辺の線量はだいたい0.04〜0.07μSv/hでした

浅草寺周辺


浅草に移動。粋な雰囲気がただよいます。でも、あれ? 提灯がない

 スカイツリーを堪能した我々は、地下鉄に乗って浅草に移動します。

「高校生の時、修学旅行で来たな」とぼく。
「福島にいる親戚たちをつれて来たことがある」とイシマル氏。

 今も昔も観光地の雷門の前には、さまざまな国の言葉が行き交い、国際的な観光地となっている様子が見て取れます。インド人とおぼしき女性たちが「キモノ」を着ているかわいらしい姿に見とれているぼくを尻目に、早速HSFのスイッチを入れて計測をはじめるイシマル氏。雷門の下で0.1μSv/hを少し越えています。

「少し気になるね」

 浅草寺周辺は、やや高いのでは? という話が311後にあったそう。実際に計測してみると、おおむね0.05μSv/h前後の空間線量。ところが、さらに奥の宝蔵門や浅草寺の屋根の下も0.1μSv/h前後という数値となります。

「もしかしたら、屋根の端から落ちて来た雨粒に含まれていたセシウムが、石畳の間の土やこけにしみ込んでいるのかもしれない」

 とイシマル氏。隙間に凹凸のある石畳に落ちた「放射性物質」は、アスファルトよりも洗い流されずに「とどまる」ケースが多いよう。隅田川沿いのレンガ敷きの遊歩道でも、レンガの間の土やコケ部分がある影響か、ところどころ周りに比べて線量が上がるポイントがありました。

 七五三詣での家族連れにいやされつつ、我々は水上バスの乗り場へ。
 ひとえに観光気分を味わいたいぼくのワガママで実現したルートです。

「水の遮蔽が効いているから、線量はほぼないに等しいよ」
 とイシマル氏もHSFのスイッチを切って、休憩モード。

予想どおりだったら妙齢の女性たちに囲まれてすごく楽しいひとときだったはずなのですが、男ふたりではすることもなし。結局、昼からお酒をいただいて、午睡をむさぼるという怠惰なひとときを過ごして、いよいよお台場に到着しました。


浅草寺の軒下。0.1μSv/hを少し越えています


浅草の車道脇の側溝。線量がとん、とあがります。


浅草周辺の放射線量マップです


お台場海浜公園周辺


船に乗ってお台場に向かいます。陸から離れ、水の遮蔽も効いていますので低い数値が出ます(お台場の水辺で0.005μSv/h)


 お台場の船着き場から、そのままウッドデッキを歩いて、「お台場海浜公園」の人工海岸にむかいます。一帯は、五輪の際に、トライアスロンなどの会場として使用される予定。レインボーブリッジをのぞみながら親子連れが遊ぶ平和な光景。ウッドデッキ周辺が0.05μSv/h前後、レンガの歩道では0.06μSv/h前後、公園の木の下で0.08μSv/h前後でした。
 ここでも、せっかく来たので、とフジテレビの社屋内を見学しました。ちなみにイシマル氏はお台場に来たのは、はじめて。堀北真希嬢が大写しになったポスターを口を開けて眺めるなど、その姿はなかなか「赤毛布」的でした。東京在住歴はわりと長いそうです。


水辺で0.005μSv/h、ウッドデッキ周辺で0.05μSv/h前後


穏やかな光景の公園。五輪の際はここでトライアスロンなどが開催される予定だそう。木の下で0.08μSv/h前後


レンガの歩道では0.06μSv/h前後


フジテレビ社屋内でゲットした品。サザエさんグッズ。手ぬぐいは浅草のふじ屋で購入したもの。浅草寺と東京スカイツリーが収まった店主の自信作


お台場周辺の放射線量マップです


夢の島公園周辺

 秋の太陽が傾き始めた頃、見学も切り上げて、電車に乗って新木場に向かいます。新木場駅周辺には、いくつか五輪会場予定地がありますが、今回は、最も駅から近い「夢の島公園」を行くことにしました。ここの周辺は、五輪の際、アーチェリーや馬術競技が行なわれる予定。いずれも屋外の競技ということもあり、計測してみようとあいなりました。
 公園内に入ったアスファルトの上と、芝生の上の空間線量を計測してみました。アスファルトの上が0.06〜0.07μSv/h、芝生の上が0.1μSv/h前後。「土の方が放射性物質が定着しやすい故の差でしょうね」とイシマル氏。0.137μSv/hを計測した木立の下の土を持ちかえり、土壌の測定を行なうことにもしました(実際に測定してみると、Cs-134とCs-137の合算値で371±57.0Bq/kgという結果でした。以下に測定結果ファイルを掲載します。)。

 夢の島公園周辺は、おおよそ0.05〜0.13μSv/hくらいの空間線量でした。
 ちなみに、この公園には、1954年のビキニ環礁でのアメリカ水爆実験により被災した第五福竜丸が展示されています。
「みんなで測ろうプロジェクトの一回目のゴールがここっていうのも象徴的な感じがするね」
 しみじみ語るイシマル氏。元乗組員の大石又七さんがとつとつと語る姿を思い起こしつつ、言葉少なに夕暮れの中、展示館に急ぐも、既に閉館していた、という落ちがちゃんとつくのも、我々っぽいところではあります。が、ともかく、すっかり日も落ちた夕方5時、新旧東京観光名所と、五輪会場予定地を一筆書きでめぐる「赤毛布旅行記」は無事終了しました。


夢の島公園内のアスファルトの上。0.06μSv/h


すぐ横の芝生の上は、0.1μSv/hを少し超えました


夢の島公園内の土壌のベクレル値測定結果。表層約3cm。表面線量約0.13μSv/h。


第五福竜丸展示館に向かうも閉館。。。


夢の島公園周辺は、おおよそ0.05〜0.13μSv/hくらいの線量でした


夢の島周辺の放射線量マップです


写真によるダイジェストレポートは、ツイッター @HSF_kodomira でも掲載しています。


文:服部夏生(常緑編集室・こどもみらい測定所)

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2013年11月30日 04:12:50

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